エリリオン

エリリオンの広大でなだらかに起伏している平原と、温暖な気候が、この内王国をウルサーンで最高のエルフ馬の飼育地としている。この驚くほどに速く優美な 駿馬は大きな群れを成し、一年を通じてこの草原を放浪する。不死鳥王に仕える諸侯のあいだでは、エリリオンの馬はその素晴らしい気質と、堂々とした美しさ から珍重されている。

エリリオンに住むハイエルフは無双の騎手であり、カレドール1世の御世から、悪意あるダークエルフからこの美しい島を守り戦ってきたのである。馬上にあっ ては風の如く速く駆ける彼ら軽騎兵たちは、祖国の広大な黄金色の平原をパトロールし、メルキスの反乱軍が戻ってきたならばすぐさま打撃を加えようと準備を 固めている。

この広大なステップ地方で、もっとも熟達した戦士はリーヴァー(強奪者、ほどの意)と呼ばれている。リーヴァーたちはウルサーンじゅうを駆け巡り、伝令、 偵察、そして恐るべき奇襲者としての役割を果たしている。エリリオン・リーヴァーは俊敏で凄腕の戦闘集団であり、魔虐の王も彼らが怒りに任せて駆け回り、 注意深く練り上げた戦闘計画を邪魔するのを許す気はない。メルキスはエリリオンに甚大な打撃を与えようと画策している。不死鳥王の玉座に就こうとするなら ば、そうせざるを得ないのだ。

古代のメンヒル(立石)はウルサーン各地にあるが、エリリオンの波打つ草原のなかにもそびえ立っている。ウソリン公の冷徹なまなざしは、ボルテックス(大 いなる渦)を支えるこの強力な人工物へぴたりと向けられている。これらのメンヒルこそが、ウルサーンの魔法のバランスを崩し、ハイエルフにとって最大の強 みを奪い去ろうという、ダークエルフの計略にとっての要石なのだ。

エリリオンにおけるダークエルフの目当てはメンヒルだけではない。この腹黒い侵略者たちは、エリリオンの都であるトルゥ・エリルをすでに取り囲み、増援や 補給物資を絶っているのだ。リーパー・ボルトスロアー(連射式ボルトスロアー)、恐るべき魔獣、強力な暗黒魔術を用いて、メルキスの黒き軍団はトルゥ・エ リルの穢れなき大理石の城壁に対して全面的な攻城戦を開始した。このハイエルフにとっての重要拠点が陥落すれば、ウルサーンの守護者はこの国でもっとも価 値ある要塞を失うことになるだろう。

侵略軍はエリリオン侵攻の初期段階においてはそれなりの戦果を収めたものの、陰謀と計略とが彼らの進軍を阻んでいる。権勢を誇るウソリン公とレディ・アル カネスの両貴族家による競争関係のために、ハイエルフに対する戦いから注意がそれてしまい、両家の指導者はこの抗争は近々決着をつけねばならないと悟った のである。もちろん平和的解決などはありえず、かつては対立にとどまっていたライバル意識が、いまや両家の全面戦争として噴出しているのである。

ウソリン公の計略は、都合よく到着した野蛮なグリーンスキンによって助けられた。戦争と略奪のチャンスがあれば絶対に逃さないオークとゴブリンどもが、エ リリオンの地を荒らしにやってきたのだ。やつらの通ったあとには荒地しか残らない。この新しい災難にハイエルフたちはかかりきりとなっており、このあいだ にウソリン家の指導者たちは恨み骨髄のライバルにくれてやるとどめの一撃について準備を進めたのだ。

今やメルキスの軍は内王国にまで到達し、ウルサーンでの戦いはハイエルフにとって危険な曲面を迎えた。 長いあいだあらゆる敵の魔手から逃れ平穏を保ってきた国々にもナーガロスの恐るべき軍団の攻撃が届くようになり、魔虐の王の残忍な軍勢は、憎き血縁が神聖 視するあらゆるものを冒涜することに喜びを感じているのだ。

エルフたちの神秘的な故郷に打ち寄せる黒い波を阻むために、今ほどエリリオン・リーヴァーの勇気と技とが必要とされたことはない。